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2023-01-07

泣き虫職人の10年戦争 

2022-12-31 by 職人マサキ

 

2022年10/1をもちまして

Silvetは、10周年を迎えることができました。

 

スマートなシュッとした生き方や言動を心がけて日夜過ごしているのですが、

見てくれからしてかけ離れていますしね、

振り返れば泥臭く野暮ったく格好悪い出来事ばかりの我が人生(笑)

 

10周年ということで、昔話も含めて長々と感謝を述べていきたいと思います。

 

2002年春GSX-Rにズタ袋をくくりつけ上京しました

2012年2月末日、大手一流革ジャンメーカーを退職し

といっても自主退職ではないのです(笑)

10年経ったから笑い話にできるようになりましたよ。

 

36歳での戦力外通告はさすがにへこたれましたが、

自分はコレしかできないので。

 

何年かやってダメなら、きれいさっぱり足を洗おうと思いました。

あの頃は怒りと反骨がすべての原動力だった気がします。

って思春期か(笑)

 

家賃2万のプレハブにミシン達を運び込み、商品開発を進めました。

夜でも室内は40℃超え、

汗で滑って初めて自分の指を縫ってしましました(涙)

 

そうやってSilvetの柱となるZOOEYとSANDYを開発している頃、

先輩に呼び出されたもつ鍋屋で運命が決まったのです。

 

「じぶん滑走路ないでホンマ、アカンで、アホちゃうか」

その相手は大阪豊中のマフラーメーカーの創業者様。

初対面なのにウンコちびるくらい説教されました。

 

37歳のおじさんがあそこまで怒られるとさすがに凹むのですが、

幸い、逆境でしか生きてこなかった為(笑)

 

ちょっとまてよ、あんなにすげー忙しい社長さんがあそこまで延々と怒るってことは、

よっぽど俺のことが嫌いなのか、

もしくは俺の中にキラリと光る一筋の可能性を見出したんじゃねーか!

 

よし後者を信じよう!

だからソッコープレハブに戻り、歯くいしばって仕事しました。

 

するとまぁなんということでしょう!

明け方にその社長さん直々プレハブにやって来られたんです。

 

そしてまた怒られました(笑)

 

よっしゃやっぱり後者や!

 

本当にダメだこの子は!

頑張ってるんだけどソコじゃないのよ的な、

プライドが高すぎててめぇで可能性狭めて足元見えていないような。

経験がないから仕方ないのだけど、今となれば社長の気持ちが少しだけわかります(笑)

 

 

その「滑走路ないでジブン」から始まった10年でした。

 

プレハブを出て福岡市東区の倉庫街の路地に店舗を構えました。

ここが正式な「Silvet Leather Garments」の始まり。

 

テナントを紹介してくれた不動産屋の社長さんは、

「ここに5年以上いたらだめだよ!」とおっしゃいました。

 

大海原に泥船ではなく平泳ぎでの出発ですが

走り出してしまえば、なんとまぁ順調そのもの!

 

コンセプトは単純明快、

業界最大手にいたからこそ、最も大事にする「効率」度外視でとことんこだわろうというやり方。

しかも当時の価格設定は狂ってた(笑)

それでも一人だからなんとかやれていたのですが、開業から一年でついに仕事はゼロに!

 

ご祝儀仕事はここで終わったのです。

 

ホントに膝から崩れ落ちてしまい、

深夜にラジオから流れてきた「俺のアディダス」普段なら聞き流すジャンルの音楽なのに、号泣。

いや盛りすぎた、目頭厚くなる。

 

さぁ、ここからが本当のスタート。

生きるために深夜のアルバイトを始めました。

 

ここで初めて本気になったんだと思う。

今となってはどうでもいいけど、また闘わない奴らに笑われるのが嫌でしょうがなかった。

 

そこからは徹底的に品質重視。

食えなかろうが、最強の革ジャン作ってやると。

 

そのタイミングで業界村八分の自分に声をかけ続けてくれた二輪誌編集者さんのおかげで

徐々に認知度もあがってきて夜のバイトを辞めることができたのでした。

 

そして40代に突入

やばい、なんか心が乾いてきた、、

 

ツーリングに出てみた。違う

峠フルコース走ってみた。チョー楽しいけどなんか違う

家族旅行に行った。これも違う

映画見て酒飲んだ。やっぱり違う

仲間と飲んだ。 違う違うそうじゃない

 

脳内ロンドンコーリングが鳴り響く、

革ジャン職人の心の渇きは革ジャンを作る事でしか潤せない。

もっとレベルの高い所で勝負がしたい!

 

関東移転を決めたのでした。

 

さすがに10年経つと、少しは賢くなりましたし、お金の計算も出来るようになりました。

良くも悪くも「変わってしまったな~」という所は多々あります。

 

しかし、ですが、だけれども、

 

先週、フルオーダーの革ジャンを2着縫ったのです。

そりゃ革ジャン職人だから縫って当たり前だろうがと思われがちですが、

今現在、私の主な仕事は型紙製作、裁断などの段取りや生産管理などで、

年間に一着フルで縫えるのは5着くらい。

 

実際、お嬢が縫った方が美しいんですよ(笑)

そこは越される悦びもあります。

 

しかし、ですが、ばってんがくさ、

 

縫いあげた2着を眺め、朝焼けをバックに俺は言った。

まだまだ俺にしか出せん雰囲気があるんだよ!

 

お嬢には内緒にしてますけど(笑)

その2着を縫っているとき、楽しくて楽しくて、メシも食わない。

その感覚が20年前から一切変わっていなければ、

多少賢くなろうが、私はおそらく大丈夫なのです。

 

病める時に人は離れ、健やかなるときに人は寄ってきました。

 

こんな社会不適合者だった私を見放さず、支えてくれた仲間たち。

全国各地から果てしない距離を走ってきて、果てしない納期を待ってくださるお客様。

零細個人事業主なのに最高の素材を提供してくれるタンナーさんと取引業者様。

日々一緒に働いてくれるお嬢とやりたいことをとことんやらせてくれる嫁さん。

 

皆様にに心より感謝し、続けることで恩返しできればと思っています。

10年間ありがとうございました。

 

そして何よりも忘れてならないのは、

革ジャン業界最強の技術力と、

人として未熟だった私に乗り越えるべき最高の試練を与えてくださった株式会社カドヤ様に心の底から感謝し、

また日々歯くいしばって頑張ります。


 

 

シルベットレザー

磯川マサキ(47)

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